高麗紅参の注目すべき成分

30種類以上のサポニンのパワー

高麗紅参は炭水化物、各種ペプチド、アミノ酸類、核酸類、ビタミン、ミネラルなどを含んでいますが、最大の特徴は、ジンセノサイドという高麗人参特有のサポニン群を30種類以上含有していることです。ジンセノサイドとは、ginseng(高麗人参)とglycoside(配糖体) の合成語で、高麗人参に含まれる配糖体を意味します。
サポニンとは大豆などにも含まれる植物成分の一つで、水に溶けると泡立つ性質があり、古くから西洋でもサポニンを含む植物を薬草として利用されていました。一般的にサポニンは多量に服用すると毒性を示す性質を持っていますが、高麗人参に含まれるサポニン(ジンセノサイド) には毒性がないのが特徴で、これは多量に長期間服用しても習慣性がなく、副作用もないということです。

高麗人参のサポニンについては1840年代からアメリカ、ロシアなどで科学的な組成の研究が始まり、20世紀に入ると、日本人の研究者たちの手によってサポニン、プロサポニンなどの有効成分が抽出され、その後、化学構造も明らかになりました。近年では、ほとんどのジンセノサイド群が明らかになり、最も多くの種類を含有する紅参からはジンセノサイドRb1からROまで約30種類以上のサポニンが確認されています。ジンセノサイドはジオール系、トリオール系、オレアノール系の三つの体系に分かれ、個々が種々の作用を持っています。
また非常に面白いことに、まったく正反対の作用を持つジンセノサイドが人参の中に共存していることもわかっています。たとえば、ジオール系は中枢神経に抑制的に働き、末梢血管を拡張する作用がありますが、トリオール系は中枢神経に興奮的に作用し、血管を収縮する作用があります。つまり抑制と興奮の相反する作用があり、薬効の二面性をもっているのです。しかも、これらは相殺されることはなく、ともに作用し体内のバランスを整えてくれます。これはサポニンの、体内の状態を正常に保つよう調整する「恒常性」という働きで、近年、大変注目されているものです。

代表的なジンセノサイドとしてジオール系ではRb1 、Rb2、RCがあり、トリオール系ではR g1 、Reがあります。Rb1は中枢神経に働きかけ抑制作用を促し、精神の興奮を抑えたり、抗不安作用や神経細胞死抑制作用などがあります。Rb2には脂質代謝や糖代謝の作用が、RCには神経細胞死の抑制作用などがあります。
一方、Rg1 は中枢神経に働きかけ興奮作用を促すほか、血小板の凝集を防ぐ作用があります。またReは、骨髄細胞の分裂を促進する作用があります。なお、Rb1は腸管内で部分的に分解され、より吸収されやすい形に変化し、体内に吸収され機能を発揮します。分解されなかったサポニンも腸管内で膵リパーゼによる脂肪の分解を阻害し、脂肪の吸収を低下させる作用があります。
これにより脂質異常症や肥満を改善する可能性があると考えられます。栽培年数によるサポニンの変動では、二年根ではジオール系が多く、年数とともにジオール系が減少傾向を示しますが、トリオール系は逆に増加傾向を示し、六年根でその両方が最もバランスよく含有されていることがわかりました。また、同一起源の人参でも、自参には存在しないジンセノサイドが紅参には含有されています。これは紅参に加工される段階で生まれたもので、抗がん作用などがあることが知られています。

サポニン以外の優れた成分にも期待

近年さまざまな研究の結果、非サポニンも非常に重要な働きをすることが明らかになってきました。
その一つが酸性多糖体です。酸性多糖体は食物中のデンプンや砂糖の小腸からの吸収を阻害する働きがあり、肥満や糖尿病の予防に役立つと考えられます。また腸管内で膵リパーゼやコレステロールエステラーゼの阻害を通じて脂肪やコレステロールの吸収を低下させることで、肥満や脂質異常症の改善が期待できます。さらに、がん患者の食欲不振や痩せを予防する効果も認められています。
このほかにも、実験で酸性多糖体は黒色腫がん細胞の肺への転移を抑制したり、ベンツピレンによる肺腺腫発生率を抑制することがわかり、抗がん療法の臨床的応用に大きな期待を集めています。
また、アルギニン誘導体(AFG) にも注目が集まっています。AFGは、紅参の加工過程によって生成される成分で、白参にはほとんど認められません。
AFG は腸管から吸収された後、一酸化窒素合成酵素の基質となり、一酸化窒素を生成して血管拡張作用を示すことが明らかになっています。
その結果、毛細血管を流れる血流量が増加し、肩こり、冷え性、偏頭痛、糖尿病が改善すると考えられます。非サポニンのインスリン様作用も見逃せません。糖尿病になるとインスリンの作用不足で脂肪細胞の中に蓄えられている脂肪の分解が高まり、どんどん痩せて血液中の脂肪酸が増えていきます。
そこでインスリンの代わりに高麗人参を投与したところ、脂肪の分解が抑えられたのです。高麗人参の中でも特に紅参での効果が高く、紅参に加工される過程で生成されるペプチドの一種が作用していると考えられています。このように、紅参にはサポニン、非サポニンともに多くの有効成分が含まれていて、それらがバランスよく作用することで、紅参の有効性をより高めていると言えるのです。

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